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からだの不思議
今からでもからだを大切にしたいとの思いで
森 正敬先生(ハンドルネーム:げのむ様)に
お願いし、「げのむトーク」を連載いたします。
No22
げのむトーク 

ブタインフルエンザがなぜヒトに感染するの?


 娘: メキシコとアメリカで、ブタインフルエンザの感染が
    大きなニュースになっているね!ブタのウイルスがなぜヒトに感染するの?

 父: その前に、ウイルスについてどれくらい知っている?

 娘: 遺伝子を持っているけど、自分では増殖できない。
    細胞に感染すると増殖できる。生物みたいな、生物でないみたいなーーーー。

 父: よく知っているね。生きた細胞に感染して、細胞の機能を利用して増殖するんだ。
    ウイルスの「ゲノム」遺伝子一組をまとめてゲノムという)は小さくて、
    遺伝子の数は、数個からせいぜい200個。ちなみに、
    大腸菌ゲノムの遺伝子数は約4、000個、ヒトゲノムの遺伝子数は
    約33、000個だから、ウイルスの遺伝子数が少ないことが分かるね。
    ウイルスは究極の寄生生物といえるね。

 娘: ウイルスのゲノムはやはりDNAなの?

 父: ウイルス以外のすべての生物のゲノムはDNAだけど、ウイルスのゲノムは
    DNAの場合(「DNAウイルス」)とRNAの場合(「RNAウイルス」)

    ある。インフルエンザウイルスはRNAウイルスだ。

 娘: ウイルスはゲノムのほかになにを持ってるの?

 父: 一般的に、ゲノムDNAやゲノムRNAを中心にして、
    周囲にタンパク質が取り囲んで、「ウイルス粒子」を作っている。
    ゲノムがタンパク質の服を着ているみたいだな。

 娘: インフルエンザウイルスはどのようにして感染するの?

 父: 咳やくしゃみによって「飛まつ感染」したり、小さい飛まつになって「空気感染」
    したりする。喉や気管などの「気道粘膜の上皮細胞」に侵入し、
    その中で大量に増殖する。ついで、細胞外に飛び出して、咳やくしゃみによって
    体外に飛散する。感染性が強く、集団発生することが多ことは知ってるね。

 娘: ある程度流行すると、収まるのはなぜ?

 父: ウイルスが蔓延すると、「免疫(抗体)」を持つ人の割合が増えるので、
    流行が沈静化する。

 娘: ウイルスの遺伝子が「変異」すると、大流行が起こるって聞いたけど、
    免疫と関係があるの?

 父: そうだ。ウイルス表面のタンパク質抗原の構造が変化すると、抗体が結合しない、
    つまり働かなくなり、流行がおこる。ウイルスがちょっと変装すると、
    抗体君は見分けられなくなるんだ。

 娘: ところで、ウイルスが細胞に感染する仕組みは分かっているの?

 父: よい質問だ。ウイルスによって違うが、インフルエンザウイルスの場合は、
    細胞表面にある「受容体」に結合して感染する。この受容体は、「シアル酸」と
    よばれる糖を含む糖鎖であることが分かっている。

 娘: ふつう、動物のインフルエンザウイルスはヒトには感染しないと聞いたけど、
    その受容体と関係があるの?

 父: すごい! そうなんだ。たとえば、ヒトのインフルエンザウイルスと
    ヒト細胞の受容体とはぴったり結合するが、
    ほかの動物のインフルエンザウイルスはヒトの受容体に結合しなかったり、
    結合が弱く、感染しにくい。

 娘: じゃあ、なぜトリやブタのインフルエンザウイルスが
    ヒトに感染するようになったの?

 父: そこが問題だね。たとえば、ヒト型インフルエンザウイルスと
    ブタ型インフルエンザウイルスが同時に感染すると、ヒト型ウイルスゲノムと
    ブタ型ウイルスゲノムが、部品(遺伝子を一部)を交換することがあるんだ。
    そうすると、ヒトの部品をもつブタウイルスが生じる。
    このヒト部品がヒト細胞の受容体に結合する部品だと、この変異ブタウイスは
    ヒト細胞に感染出来るようになる。しかし、ヒトはブタウイルスに対する免疫を
    持っていないので、大流行する可能性があるな。

 娘: 予防するにはそうすればいいの?

 父: その答えはちょっと長くなるので、次回にしよう。

今は新型インフルエンザの
感染が広がっていますね、
インフルエンザウイルスは
生きた細胞に感染して、細胞の
機能を利用して増殖するなんて、
田舎のオバサンは全然知らずに
ノホホーンとしていました。
この新型ウイルスは
ウイルスの遺伝子が「変異」して
大流行が起こっているのですね。
予防するには次回の講義を
待ちます。   写真は主人が
トラクターで帰る所です。