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からだの不思議
今からでもからだを大切にしたいとの思いで
森 正敬先生(ハンドルネーム:げのむ様)に
お願いし、「げのむトーク」を連載いたします。
No33
げのむトーク 

痛風はなぜ痛い?

 娘: 「痛風」は、風が吹いても痛いというところから名前が付けられたと聞いたけど、
     なぜそんなに痛いの?

 父: 関節に尿酸の結晶が出来ると、体はそれを外敵(異物)とみなし、
    「好中球(貪食専門の白血球)」が血中からその場所に駆けつけ(「遊走」という)、
    尿酸の結晶を貪食して殺そうとする。この時、「炎症の化学物質」が放出され、
    炎症が起こる(第24回を見て下さい)。白血球は、異物が細菌の場合には殺菌できるが、
    相手が尿酸の結晶だと歯が立たない。その結果、白血球は自爆して、中身が飛散し、
    さらに強い炎症が起こり、これが繰り返される。「発痛物質」を含む大量の炎症化学物質が
    放出され、関節は腫れあがり、激しい痛みが起こる。

 娘: 聞いているだけで痛くなりそうだけど、痛みをとるにはどうすればいいの?

 父: 痛み発作の初期には「コルヒチン」という薬が用いられる。コルヒチンは
     種無しスイカを作るときにも使われる薬で、白血球の遊走や貪食を抑制する作用があるので、
     炎症化学物質の放出が抑制され、痛みが軽くなる。その後は、
     「インドメタシン」などの「非ステロイド系抗炎症薬」を用いる(第25回)。
     しかし、これらの薬は尿酸を下げる効果はないよ。

 娘: これらの薬は発作のときだけに使うのね。では、尿酸を下げるにはどうすればいいの?

 父: 血中の尿酸量(濃度)は、尿酸が産生される速度と、腎臓から排泄される速度のバランスで決まる。
     もし、産生が亢進するか、排泄が低下すると、尿酸が蓄積し、「高尿酸血症」が起こる。
     日本では「排泄低下型」が60%、「産生亢進型」が20%、「混合型」が20%くらいを占める。
     どの型かによって、異なる薬が使われる。

 娘: それぞれの型について、どんな薬があるの?

 父: 産生亢進型には「アロプリノール」という薬を用いる。アロプリノールは、
     プリン体から尿酸を作る酵素を阻害して、尿酸の産生を低下させる。
    一方、排泄低下型には、「尿酸排泄を促進する薬」を使う。

 娘: 高尿酸血症といってもちゃんと型を調べて、薬を使い分けることが大切ね。
     そのほかには、食事も問題でしょう?

 父: そのとおり。食物からのプリン体の影響は一般に考えられているほど大きくないが、
    高尿酸血症の人はプリン体の摂りすぎには気をつけることが大切だ。
    プリン体は主に核酸に含まれているので、細胞数の多い食品に多い。一般に、
    動物や魚の肉に多く、野菜は少なく、卵や乳製品や穀物にはほとんど含まれないので、
    肉類の取りすぎに気をつけるとよいな。痛風は昔「美食病」ともよばれたが、
    確かに高価でうまい食品にはプリン体が多い傾向がある。

 娘: グルメで高尿酸血症の人はかわいそうね。
    アルコールや、とくにビールがよくないといわれているけど、ほんと?

 父: 実は、ちゃんとした証拠はないみたいだ。ビールに含まれるプリン体は多くないので、
    適量のビールは問題ないと思う。ビール大瓶のプリン体は約50mgで、
    この量は肉20−30gに含まれる量だ。最近、低プリンビールやプリンカットビールが
    売られているが、あまり関係ないと思うな。いずれにしても、飲み過ぎはよくないな。

 娘: 最近、健康食品の中に”核酸食”など核酸を含む健康食品の広告があるけど、大丈夫なの?

 父: 大丈夫ではないな。核酸を多く含む健康食品は要注意だ。

 娘: ところで、痛風は「遺伝」するの?

 父: ごくまれに、遺伝子の異常によるもので遺伝するものがあるが
    (「レッシューナイハン症候群」など)、ほとんどは原因不明で、遺伝性は低い。

 娘: そのほかに、気をつけることは?

 父: 水分を十分に摂ることと、野菜を多く食べて、尿をアルカリ性に保つことが大切だ。
     尿酸は酸性物質なので、アルカリ性のほうがよく溶け、結晶が出来にくいし、排泄されやすい。
    また、適度の運動やストレス解消によっても、尿酸値が低下することが知られている。

 娘: 野菜を食べると、どうして尿がアルカリ性になるの?

 父: ではその話を次回にしよう。



前田の秋
稲刈りが済み、田起こしを待つ風景

関節に尿酸の結晶が出来ると、体はそれを
外敵(異物)とみなし、「好中球(貪食専門の白血球)」が
血中からその場所に駆けつけ(「遊走」という)、
尿酸の結晶を貪食して殺そうとする。この時、
「炎症の化学物質」が放出され、炎症が起こる
白血球は、異物が細菌の場合には殺菌できるが、
相手が尿酸の結晶だと歯が立たない。その結果、
白血球は自爆して、中身が飛散し、
さらに強い炎症が起こり、これが繰り返される。
「発痛物質」を含む大量の炎症化学物質が
放出され、関節は腫れあがり、激しい痛みが起こる。
噛み砕いた表現でこの様にして
痛風の痛みが発生するのですね。
自分の体の自己防衛が悪循環を引き起こして
いるだなんで皮肉なものですね。
水分を十分に摂ることと、野菜を多く食べて、
尿をアルカリ性に保つことが大切だそうですね。
尿酸は酸性物質なので、アルカリ性のほうがよく溶け、
結晶が出来にくいし、排泄されやすい。
また、適度の運動やストレス解消によっても、
尿酸値が低下することが知られているそうです。
この様なアドバイスは本当に助かりますね、
森先生 ありがとうございます。