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からだの不思議
今からでもからだを大切にしたいとの思いで
森 正敬先生(ハンドルネーム:げのむ様)に
お願いし、「げのむトーク」を連載いたします。
No50
げのむトーク 

ビタミンKと納豆とワルファリン

 

父: 「納豆」は話題の多い食品だね。ビタミンK2は大豆には少ないのに、
    納豆に多いのはなぜか知っている?

 娘: あっ分かった! 納豆は納豆菌による発酵食品なので、納豆菌が作るのでしょう?

 父: そのとおり。納豆はユニークな食品で、血液凝固に必要なビタミンKを多く含むと同時に、
    「血栓」(血液の塊)を溶かす「ナットウキナーゼ」とよばれるタンパク質分解酵素を含んでいるのだ。
    これについては、改めて話をしよう。

 娘: 納豆はあまり好きではないけど、良質のタンパク質やビタミンKなど、
    大切な成分が多く含まれているので、がんばって食べるようにしている。
    ところで、ビタミンKの欠乏症はよく起こるの?

 父: ビタミンKはいろいろな食品に含まれているし、腸内細菌によっても合成されるので、
    普通の食事をしていれば不足する心配はほとんどない。しかし、
    新生児は母乳中のビタミンKが少なく、腸内細菌が発達していないため、
    ビタミンK欠乏による「新生児出血症」や「乳児出血症」を起こしやすい。

 娘: 腸内細菌が合成するビタミンの場合は、腸内細菌のバランスがおかしくなると、
     ビタミン不足になるという話だったけど(第17回)、ビタミンKはどうなの?

 父: よく覚えているね! そのとおり。「抗生物質」を長期間用いると腸内細菌が減少し、
     ビタミンK不足を起こすことがあるので、要注意だ。

 娘: ビタミンK不足による新生児や乳児の出血を予防するには、どうすればいいの?

 父: 妊娠後期の女性はビタミンKを十分とることが大切だ。ビタミンKは脂溶性ビタミンなので、
    油で調理すると吸収がよくなるよ。また、新生児には、
    生後すぐにビタミンKのシロップを飲ませることもよく行われている。

 娘: 逆に、ビタミンKをとりすぎると、血が固まりすぎて困りそうだけど、大丈夫なの?

 父: 大変よい質問だ。血液凝固はいくつかの段階(連鎖反応)から成り立っており、
    凝固の引き金が引かれなければ、ビタミンKが過剰にあっても、凝固は起こらない。
     ビタミンKは、すこしくらい過剰にとっても比較的安全なビタミンで、食事で過剰症になる心配はない。
     しかし、ビタミンK剤を大過剰に摂取すると「溶血性貧血」を起こし、妊婦の場合は、母子共に
     溶血性貧血が起こることが知られている。もう一つの注意点は、「ワルファリン」との相互作用だ。

 娘: ワルファリンは、「血栓を予防」するくすりでしょう? ビタミンKがワルファリンとどう関係するの?

 父: その理由は、ややこしいけど面白いよ。ワルファリンなどの「抗血液凝固薬」は、
     ビタミンKとよく似た構造をしており、ビタミンKと拮抗してビタミンKの作用を抑え、
     その結果血液凝固を抑える。だから、「血栓症」や「心房細動」(血栓を生じやすい)の人の
     血栓予防に用いられる。ワルファリンは使う量が大変難しいくすりで、
     使いすぎると危険だ。何故だか分かる?

 娘: 血液が固まりにくくなるよね。つまり、出血しやすくなるのでしょう?

 父: そのとおり。脳出血などのリスクが大きくなる。
    では、ワルファリンを使っている人がビタミンKを大量に摂取すると、どうなる?

 娘: ビタミンKがワルファリンに打ち勝って、せっかく使っているワルファリンが効かなくなるね!
    だから、ビタミンKが多く含まれる納豆も禁止されるのね! ナルホド。ナットウはナットクだ!!

 父: 決まったね! ワルファリンはよく使われているけど、“両刃の剣”で副作用が大きいので、
    僕はよほどのことがないかぎり、使いたくないな。

芦屋田工房では納豆販売が主力です。
手作り納豆は人気を頂いています。
亡き義母は心臓肥大で血栓を予防するお薬を
飲んでいました、たぶん“ワルファリン”だったのでしょう。
義母はちょっとだけ納豆をおくれと言って、アンタは
納豆だけは作るのが上手いからねと言って
少しだけ食べていました。
何事にも厳しい義母からほめられ、
県の保険所の許可を取るように動いたのです。
義母は1年後、脳血栓で入院 2年間の入院の末
他界いたしました、すべてがからだの不思議なのですね。
現在は90歳の義父とともにバランスの取れた食事に
心がけています。