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からだの不思議
今からでもからだを大切にしたいとの思いで
森 正敬先生(ハンドルネーム:げのむ様)に
お願いし、「げのむトーク」を連載いたします。
No51
げのむトーク

止血のしくみ:血小板と血液凝固因子の働き


 父: ビタミンKに関連して、「止血」の話をしよう。
    出血すると血が固まって
止血するけど、この止血、つまり
    「血液凝固」はきわめて巧妙に
調節されている。
    このしくみに異常が起こると、どうなると思う?

 娘: 出血しやすくなったり、逆に血が固まりやすくなったりするのでしょう?

 父: そのとおり。どちらも危険で、命にかかわることがある。
    血液凝固には
多数を因子が関係しており、きわめて複雑だ。出血すると、
    血管が
収縮して狭くなり、血液の流れが低下して、血が固まりやすくなる。
      これに加えて、次の二つの反応が重要だ。第一は「血小板の凝集」で、
      第二は「血液凝固因子」活性化の一連の反応が起こり、
   
「フィブリン繊維」の網目を作る過程だ。

 娘: 第一の段階だけど、血小板ってなに?

 父: 血小板は血液細胞の一つだが、血液凝固専用のユニークな細胞だ。
    細胞といっても一人前の細胞ではなく、細胞の断片といえる。

      「巨核球」とよばれる前駆細胞がちぎれて出来る。
    小胞体やミトコンドリア
などの小型の細胞小器官は持つが、
    核は持っていない。
血管に傷がつくと、血小板が活性化される。

 娘: 血小板が活性化されると、どうなるの?

 父: 血小板は円盤状をしているが、活性化されると球状になると共に突起を出し、
    お互いに絡み合って傷がついたところに凝集し、血管の
傷を塞ぐ。
    これを「一次血栓」というが、やわらかくてもろい。

 娘: 出血すると、すぐにぶよぶよした血の塊が出来るけど、それだよね。
    やがて、硬いカサブタになって、傷が治る。
    このときに、
血液凝固因子が関係するのでしょう?

 父: そのとおり。凝集した血小板に「フィブリン」とよばれる繊維タンパク質
      (血液凝固因子の一つ)がからみついて、硬い血栓を作る。
       これが「二次血栓」だ。ところが、フィブリン繊維が出来るまでに多くの
     血液凝固因子と、多くの反応が必要だ。

 娘: フィブリン繊維はどうして出来るの?

 父: 我々の血漿中には「フィブリノーゲン」とよばれる可溶性のタンパク質が
    存在し、これが「トロンビン」とよばれるタンパク質分解酵素で
切断されると
    「フィブリン」となり、繊維を作る。

 娘: 可溶性のタンパク質が切断されて、不溶性の繊維タンパク質になるのね。
    すごい反応ね! では、そのトロンビンはどこから来るの?

 父: 血漿中には「プロトロンビン」とよばれる前駆体タンパク質(酵素活性がない)が
    存在し、これが「第X因子」とよばれる
血液凝固因子によって切断され、
    活性のあるトロンビンとなる。
こうして出来たトロンビンが、
    フィブリノーゲンを切断して、
フィブリンが生じるというわけだ。

 娘: プロトロンビンは「ビタミンK」のときに出てきたのを覚えている
     (第49回)。活性のあるプロトロンビンが出来るのに、
    ビタミンKが
必要だったよね。

 父: そう。だから、ビタミンKが欠乏すると、活性型のプロトロンビンが
       出来なくなり、血液凝固が起こらなくなるというわけだね。
      「ワルファリン」を投与した場合も同じだ。

 娘: では、第X因子はどうして出来るの?

 父: やはり第X因子の前駆体が活性化されて出来る。第X因子の前に
      数段階の反応があり、これが次々と活性化されるしくみになっている。

 娘: 将棋のコマ倒しみたいね。でも、なぜこんなややこしい
    連鎖反応
必要なの?

 父: よい質問だ。小さい傷から短時間の間に大きい血栓を作るのは
       大変な仕事で、血液凝固の多段階反応は、反応を「増幅」するための
       しくみなのだ。ちょうどねずみ算のようにどんどん増えるので、
       小さい反応から大きい反応を引き起こすことが出来る。
     血液凝固は、
川の堤防が少し壊れたときに、土嚢を積むのに似ているよ。
     土嚢積みは
1人では間に合わないけど、1人が10人に声をかけ、
     10人が100人に
声をかけ、100人が1000人に声をかけて、みんなでやれば、
       堤防を塞ぐことが出来るよね。

 娘: なるほど。すごく分かりやすい例えね! 
    多段階反応の意味が
よく分かったわ。



今年のどんどやは昔から行っていた
木の根や雑木、丸太の切り株などを
重機を使い、地区全員で集め作りました。
明るい内からのどんどやは夜まで
地区の人々が集まり、無病息災を願い、
カッポ酒を飲んだり、餅を焼いたり、
時間を共有した楽しい1日でした。
本当にからだの不思議には驚かされます。
ビタミンKに関連して、
出血すると血が固まって止血する
「血液凝固」はきわめて巧妙に調節
されている事をあらためてお話頂くと
今まで「怪我をして出血をする、ちょっと
ガーゼを当てていれば止まるわ」と
本当に何も考えず、生活をしていました。
怪我をしてすぐに止まる、これって
体の中で一生懸命修復作業がなされて
いるのですよね。このしくみに異常が
起こると出血しやすくなったり、
逆に血が固まりやすくなったりするのですね。
それには第一に血小板の働き、第二に 
「血液凝固因子」の働き、その他、
血液凝固の多段階反応によって体は守られて
いるのですね。あらためて、
自分の体に感謝です。