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からだの不思議
今からでもからだを大切にしたいとの思いで
森 正敬先生(ハンドルネーム:げのむ様)に
お願いし、「げのむトーク」を連載いたします。
No52
げのむトーク

「血液サラサラ・ドロドロ」ってなに

 
 父: けがをしたとき、「血液凝固」、すなわち、血が固まって「止血」する
       様子は目に見えるね。しかし、
    血液凝固は目に見えないところでも
絶えず起こっている。

 娘: 絶えず起こるということは、
    脳出血や内臓出血のような出血では
ないのね?

 父: そう。正常な血管でも絶えず小さい傷がつき、その修復が行われている。
    その時にも、「血小板の凝集」や
「血液凝固因子の活性化」による止血が起こっている。
    しかし、
血が固まりやすくなると、「心筋梗塞」や「脳梗塞」などのリスクが大きくなる。

  娘: 血が固まりやすくなりすぎるとこわいね。どういう場合にそうなるの?

 父: 「血管」に問題がある場合と、「血液」に問題がある場合がある。
       血管に「動脈硬化」が起こると、その場所に血小板が凝集しやすくなる。
    一方、血液が血管を流れにくい状態になると、血液凝固が
起こりやすい。
    しかも、この二つはお互いに関係してる。

 娘: 血液が血管を流れにくいということは、
    最近話題の
「血液サラサラ・ドロドロ」と関係があるの?

 父: よく知っているね。「血液ドロドロ」といわれる状態だね。しかし、
    ”血液サラサラ・ドロドロ”はキャッチコピー的な言葉で、

      医学的に広く認められている言葉ではないので、注意が必要だ。

 娘: でも、血液サラサラに関する本は多いし、テレビでもよく放送されているし、
    理屈はあるのでしょう?

 父: そうだね。血液のサラサラ・ドロドロは、主に「血小板」と「赤血球」と
    「白血球」の状態によって決まると考えられる。
血小板は凝集しやすい状態ほど、
    血液ドロドロになる。ところで、

       血液が毛細血管の中を流れる映像を見たことがあるだろう?

 娘: テレビでよくやっているね。狭い毛細血管の中を、血管と同じくらいの大きさの
    円盤状の赤血球が、形を変えながら
すごい速度で流れていくね。

 父: その間に、組織に酸素を配ったり、組織から出た炭酸ガスを受け取ったり
    しているのだ(「ガス交換」という)。赤血球の膜が
硬くなると「変形能」が
    低下し、血液ドロドロになる。また、
    白血球の
「粘着性」が増加しても、血液ドロドロになるな。

 娘: 血液ドロドロというと、血液の脂肪が多くてドロドロしているのかなと
    思っていたけど、関係あるの?

 父: 血液中のコレステロールや中性脂肪(トリアシルグリセロール)が高いと
   「高脂血症」(第
2−4回、第6回)になるが、これも関係しているよ。
    血液中の脂質が多いと「動脈硬化」が起こりやすいし、
赤血球や
    白血球の膜の性質が変わることが大きいと思う。

 娘: そうなんだ。先日テレビで、血液のサラサラ・
    ドロドロ度を測る
機械について放送していたよ。

 父: 「MC-FAN(エムシー・ファン)」と呼ばれる機器で、血液を人工の
    毛細血管に流して観察する装置だな。しかし、この装置で
得られた結果が、
    臨床に役に立つかどうかは意見が分かれており
(むしろ、否定的な意見が多い)、
    今後の研究が必要だ。

 娘: では、血液サラサラ・ドロドロはまったく気にしなくていいの?

 父: そうではない。バランスのよい食事をし、適度の運動をするなど、
    生活習慣に気をつけていると、血液をよい状態に保つことが
出来るので、
    サラサラ・ドロドロ度をわざわざ調べる必要はないと思う。
もし心配なら、
    医師に相談して、普通の血液検査をやってもらうとよい。

  最近、”血液サラサラ”をうたったあやしい商品が売られているので、気をつけよう。