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からだの不思議
今からでもからだを大切にしたいとの思いで
森 正敬先生(ハンドルネーム:げのむ様)に
お願いし、「げのむトーク」を連載いたします。
No55
げのむトーク

血友病はどんな病気?


 娘:  「血液凝固」の話の続きだけど、「血友病」は血液凝固の病気でしょう?

  父: そのとおり。「先天性」の「血液凝固障害」で、血が止まりにくくなる病気で、
    基本的には「遺伝病」だ。主に関節内や筋肉内などの深部に

      出血することが」多く、血塊(血のかたまり)を作る。

 娘: けがをした時に血が止まりにくくなると思っていたけど、ちょっと違うのね。
    どうして主に関節内や筋肉内に出血するの?

 父: 細かい話になるけど、血液凝固の道は一本ではなく、上部で二本に分かれている。
    一本は「外因性経路」で、主に外傷の
ときに働く。
    もう一本は「内因性経路」で、血管に小さい傷が出来た
ときに働く。
    二本の道は、途中で合流して一本になる。血液病は
内因性経路の障害で、
    けがの時には少し血が止まりにくくなる程度だ。

  娘: むつかしいけど、
    なんとか分かったと思う。血友病には
A型とB型があると習ったよ。

 父: よく知っているね。
    「血友病A」は「血液凝固第VIII因子」の欠損、
または不足によって起こる。
     一方、「血友病B」は「血液凝固第IX因子」
の欠損、
    または欠乏(不足)によって起こる。

  娘: ”欠損”と”欠乏”はどう違うの?

  父: 欠損とは、第VIII因子または第IX因子の活性がまったくない(ゼロ)場合で、
    厳密には「完全欠損」という。一方欠乏とは、活性が
低下している、
    または部分的に残っている場合で、「部分欠損」とも
言われる。当然、
    部分欠損の場合は症状が軽く、完全欠損の場合は
症状が重い。

  娘: 一口に欠損といっても、程度がいろいろあるのね。
    ところで、
第VIII因子と第IX因子はどこで働くの?

  父: 血液凝固経路において、「プロトロンビン」を「トロンビン」にするのに
     「第X因子」が働くと言ったが(第
50回)、第VIII因子と第IX因子は
        第X因子の活性化に必要なのだ。

  娘: まとめると、
     第VIII因子と第IX因子が第X因子を活性化し、
第X因子がトロンビンを作り、
     トロンビンが「フィブリン線維」を作る
ということでいい?

 父: 見事につながったね! ところで、血友病は男性と女性のどちらに多いか知っている?

 娘: ほとんど男性と思うけど、何故なの?

 父: 第VIII因子の遺伝子も第IX因子の遺伝子も、ともにX染色体の上に存在するためだ。
    X染色体の話は長くなるので、次回にしよう。