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からだの不思議
今からでもからだを大切にしたいとの思いで
森 正敬先生(ハンドルネーム:げのむ様)に
お願いし、「げのむトーク」を連載いたします。
No57
げのむトーク 

  三毛猫はオスかメスか?
娘: X染色体は男性が1本で、女性が2本だけど、X染色体の活性は
  女性が2倍あるの?

父: 大変よい質問だ。X染色体の上には数百種類の遺伝子が
  存在するが、これらの遺伝子の活性、すなわち遺伝子から出来る
  タンパク質も活性を測定すると、男性も女性も同じなのだ。

娘: それは不思議ね。どうなっているの?

父: 実は、女性の2本の染色体のうちの1本だけがが働いて、
  もう1本は眠っていて働いていない。これを「X染色体の不活性化」
  といい、X染色体の大きな特徴だ。

娘: そのおかげで、男性と女性のX染色体の活性が同じになるのね。
  すごいしくみだけど、その分子機構は分かっているの?

父: かなりよく分かっているが、説明するのは難しいので、省略しよう。
  しかし、不活性化したX染色体は凝縮して、顕微鏡で観察すると、
  核の中の暗い塊として見える。これを「性クロマチン」という。

娘: すると、男性の細胞には性クロマチンが見えないが、女性の
  細胞には見えるのね?

父: そのとおり。かつては、これがスポーツ選手の「セックスチェック」に
  用いられた。実際には口腔粘膜の細胞を擦り取って顕微鏡で観察して、
  性クロマチンが見えれば女性、見えなければ男性と判定した。しかし、
  この方法はあまり正確でないので、現在ではY染色体(男性化の染色体)
  があるかどうかで判定している。話は変わるけど、「三毛猫」は
  オスかメスか知っている?

娘: えっ? オスもメスもいるでしょう?

父: それが違うんだ。三毛猫は例外はあるけど、メスに決まっているよ。

娘: びっくりしたな。でもどうして?

父: ネコでは毛の色(黒か茶色か)を決める遺伝子がX染色体の上に
  存在するためだ。オスはX染色体が1本なので1色しか出せないが、
  メスは2本持っているので2色、白とあわせて3色出せるというわけだ。

娘: わー面白いね。で、その例外ってなに?

父: 大変まれだけど、オスの三毛猫がいるのだ。調べてみると、
  性染色体が「XXY」という、「染色体異常」だ。Y染色体を持っているので
  オスで精巣があるが、X染色体を2本持っているので三毛猫になる。
  大変珍しいので高価で取引されるらしい。

娘: ヒトにも同じような染色体異常はあるの?

父: ヒトにもXXY型の染色体異常があり、「クラインフェルター症候群」と
  呼ばれる。男性器の発育に遅れが見られ、不妊になる。ヒトの場合は
  毛の色は関係ないよ。もう一つよくある性染色体異常は
  「トリプルX(XXX)」で、「ターナー症候群」と呼ばれる。女性化が
  少し遅れることが多いが、外見上は分からず、不妊外来で
  見つかることも多い。

娘: 染色体異常はどうして起こるの?

父: それを説明するのには時間がかかるので、改めて説明する
  ことにしよう。