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からだの不思議
今からでもからだを大切にしたいとの思いで
森 正敬先生(ハンドルネーム:げのむ様)に
お願いし、「げのむトーク」を連載いたします。
No78
げのむトーク

血液型はなぜ輸血で問題になるのか?

父: 「ABO血液型」は「輸血」の時に問題になるけど、
   どの型の人にどの型の血液が輸血できるか知っている?

娘: 同じ型の血液が最もよいけど、O型の血液は
   どの型の人にも輸血できるのでしょう?

父: 大体そのとおりだけど、あくまでも同じ型同士が原則で、
   O型血液を他の型の人に使うのは緊急時に限られるよ。
   では、その理由は知っている?

娘: 抗体が関係するのでしょう? 抗体の種類はーーーーー?

父: A型の人は「抗B抗体」、B型の人は「抗A抗体」を持っている。
   O型の人は抗A抗体と抗B抗体を両方持っているが、
   AB型の人は両方とも持っていない。

娘: そうだったね。では、なぜそうなっているの?

父: 例えば、A型の人は「A抗原」を持っているけど、
   A抗原は自分自身が持っている分子、すなわち「自己」なので、
   抗体が出来ない。しかし、B抗原は自分自身がもっていない
    「非自己」なので、これに対する抗体、すなわち抗B抗体が出来る。

娘: たしかに、自分自身の分子に対する抗体が出来たら、
  体中で「抗原抗体反応(免疫反応)」が起こって、
   大変なことになるね。それで、B型の人はその逆で、
   O型の人は抗A抗体と抗B抗体を両方持っていて、
   AB型の人は両方とも持っていないのでしょう?

父: そのとおり。自己と非自己と見分けて、非自己だけに対して
   抗体(「リンパ球」も)を作るのは、「免疫」のすごいところだ。
   この仕組みが障害されると、「自己免疫病」になる。

娘: たしかにすごい仕組みね! でも、抗A抗体や抗B抗体が
   出来るためには、A抗原やB抗原に出会う必要があるでしょう? 
   たとえばO型の人は、どこでA抗原やB抗原に出会うチャンスが
   あるの?

父: するどい質問だ。実はよく分かっていないのだ。
   多くの細菌がA抗原やB抗原を持っているので、知らない間に
   これらの細菌に感染して抗体ができる、と考えられている。

娘: 科学が進歩しているのに、まだ分かっていないことが
   あるのね! では、血液型はどうして調べるの?

父: いわゆる「血液型検査」だね。スライドグラスの上に
   抗A抗体と抗B抗体を別々に載せておき、そこに血球の浮遊液を
   一滴加えて混ぜ、血液が「凝集」するかどうかを見る。
   では、結果はどうなると思う?

娘: 抗A抗体で凝集すればA型、抗B抗体で凝集すればB型、
   両方で凝集すればAB型、両方とも凝集しなければO型でしょう?

父: よく出来ました! 輸血時には、さらに供血者と受血者の間で
   「交差適合試験」を行う。では、例えばB型(またはO型)の人に、
   間違ってA型の血液を輸血したら、どうなると思う?

娘: B型の人は抗A抗体を持っているので、
   輸血したA型赤血球は凝集すると思う。

父: そのとおり。凝集した赤血球は毛細血管に詰まり、
   壊される。赤血球に含まれる「ヘモグロビン」が分解され、
   その分解産物である「ビリルビン」が蓄積し、「黄疸」が起こる。
   黄疸とは、ビリルビンが蓄積する「病態」(異常な状態)のことだ。
   ひどいときには、命にかかわることもあるよ。

娘: そうなんだ。輸血の時に、うっかり血液型を間違えると
   大変なことがよく分かった。