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からだの不思議
今からでもからだを大切にしたいとの思いで
森 正敬先生(ハンドルネーム:げのむ様)に
お願いし、「げのむトーク」を連載いたします。
No86
げのむトーク


アルコールと薬の相互作用に気をつけて

  アルコールシリーズ最終回です。
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 父: 「アルコールと薬の相互作用」の話だったね。
     大変複雑だが、次の3つに分類される。
     1番目は、アルコールと薬が「相加的」にはたらく、つまり強めあう場合だ。

 娘: たとえば、どんな薬があるの?

 父: 「メトトレキサート」という「抗がん薬」は、副作用として「肝障害」を起こすが、
     アルコールはこの肝障害を強めるので、酒を飲んではいけない。また、
     糖尿病で「インスリン」や「経口糖尿病薬」を使っている人が酒を飲むと、
     「血糖」が下がりすぎて危険だ。

 娘: アルコールが「血糖値」を下げるのはどうして?

 父: どんどん好奇心が強くなってきたみないだね!専門的になるけど、
     アルコールは肝臓における「糖新生」を阻害して、血糖値を下げる作用がある。
     「糖新生」とは乳酸やアミノ酸から血糖、つまりグルコース(ぶどう糖)を
     合成する代謝経路だ。

 娘: 血糖値はすごく大切で、高すぎると「糖尿病」になって困るけど、低すぎると
     「ショック」を起こしたりするんだよね。お酒を飲んだあと
     「ハルシオン」を飲んだら、興奮状態になったという話を聞いたけど、
     これも相加作用でしょう?

 父: よく知っているね。ハルシオンなどの「催眠・鎮静薬」とアルコールを両方飲むと、
     「中枢神経抑制効果」が強く出すぎて、異常な行動を起こすことがあるんだ。

 娘: これは結構やりそうなので、要注意ね。2番目の相互作用はなに?

 父: 薬が「アルコール代謝」を変化させる場合だ。「ALDH(アルデヒド脱水素酵素)」を
     阻害する「断酒薬」(第83回)はその代表だが、ほかにもALDHを阻害する
     薬があるので、注意が必要だ。

 娘: たとえば、どんな薬があるの?

 父: いくつかの「抗生物質」や「経口糖尿病薬」など、いろいろあるよ。

 娘: では、3番目の相互作用はなに?

 父: アルコールによって「薬物代謝」が変化することだ。ややこしいけど、薬の作用を
     強める場合と弱める場合がある。ある種の薬は、前回話した
     「ミクロソームエタノール酸化系(MEOS)」で代謝・分解される。
     これらの薬とアルコールを同時に飲むと、どうなると思う?

 娘: お互いに邪魔しあって、薬の分解が遅くなるから、薬が効きすぎると思う。

 父: そのとおり。MEOSの活性には限度があるので、アルコールと薬が競い合って、
     両方とも分解がおそくなることになるな。

 娘: では、薬の効果を弱めさせるのは、どういう場合なの?

 父: これも前回話したように、アルコールを飲み続けると、MEOS系が活性化される。
     正確にはMEOS系の酵素タンパク質量が増える(これを「誘導合成」という)。
     このとき、ある種の薬を飲むとどうなると思う?

 娘: 質問のオンパレードね!この場合は、薬が速く分解されすぎて、
     効かなくなると思う。

 父: これも正解だ。アルコールを毎日飲んでいる人は、「ワーファリン
     (血液凝固阻害薬)」や「セルシン(ジアゼパム、抗不安薬)」などが
     効きにくいのは、このためだ。

 娘: ややこしくていちいち覚えられないけど、どうすればいいの?

 父: まず、薬をもらうときに、医師や薬剤師の注意をよく聞くことが大切だ。
     市販の薬も、説明書をしっかり読む習慣をつけてほしい。

 娘: 薬ではないけど、お酒をまったく飲めない友人が、「ドリンク剤」を2本飲んだら、
     体がカッとなり、心臓がドキドキしてびっくりしたといってたよ。
     瓶の説明を読んだら、アルコールが入っていたんだって。

 父: 市販のドリンク剤には、多いものでは1グラムを越えるアルコールが入っており、
     アルコール濃度はビールより高いことがあるので、要注意だ。ところで、
     これからは「セルフメディケーション」が大切な時代になるよ。

 娘: 「セルフメディケーション」って最近よく聞くけど、なに?

 父: 「WHO(世界保健機構)」では、自分自身の健康に責任を持ち、
     軽度の身体の不調は自分で手当てすること」と定義されている。要するに、
     自分自身で健康を管理し、軽い病気は自分で治療せよ、ということだ。

 娘: そのためには、病気や薬についてある程度の知識が必要ね。

 父: そのとおり。そこで、「薬剤師」や、新しく出来た
     「登録販売者」が相談にのるなど、その活躍が期待されている。

 娘: どうして、最近そういうふうになってきたの?

 父: 自分で健康管理をすることにより、日常的な健康増進につながると期待される。
     さらに、医療機関を利用する手間と費用を省くことが出来るので、
     医療費を抑制する効果も期待されている。

 娘: そうなんだ。お酒についても、自分で管理することが大切ね。
     「酒は飲むとも飲まれるな」ということね!

 父: 「酒は百薬の長、されど万病の元」ということわざもあるよ。
     「人酒を飲む、酒酒を飲む、酒人を飲む」というのもいいね。


昨年の秋の花、オレンジコスモス
「酒は百薬の長、されど万病の元」という
ことわざもあるよ。「人酒を飲む、酒酒を飲む、
酒人を飲む」というのもいいね、本当に
昔のことわざは現在も通用する言葉を残して
いるのですね。高齢化が進む世代
「セルフメディケーション」と言う言葉の様に
自分自身で健康を管理し、軽い病気は自分で
治療する事が急務の課題となっている
時代の様です。森先生がこの様に重要なトークを
発信して頂いています。
げのむトークに感謝しながら少しづつ
からだの改善を進めて行きたいものです。
自分はもちろん家族の体を見直しています。