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からだの不思議
今からでもからだを大切にしたいとの思いで
森 正敬先生(ハンドルネーム:げのむ様)に
お願いし、「げのむトーク」を連載いたします。
No101
げのむトーク

発がんイニシエーターと発がんプロモーター
 
    がんシリーズの続きです。

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 父: 前回の続きをする前に、訂正と追加をしておきたい。まず訂正だけど、
     「医薬品」については「実験動物」を使って「がん原性」を調べることが
     義務付けられている。また、さらにヒトに近い動物を使って調べることも行われている。

 娘: 追加のほうは?

 父: 前回、「ナフチルアミン」による「膀胱がん」の話をしたが、もっとも古い
     「職業がん」の報告は1775年のイギリスの研究で、
     「煙突掃除人」に「陰嚢皮膚がん」が多いというものだ。

 娘: そうなんだ。ところで、動物ではじめてがんを作ったのは日本人だと聞いたことがあるよ。

 父: よく知っているね。「山際勝三郎」と「市川厚一」はウサギの耳に「コールタール」を
     塗り続けて、はじめて動物にがんを作ることに成功した。1915年のことだ。

 娘: ノーベル賞をもらうべきだったといわれているんでしょう。

 父: そうなんだ。山際博士が受賞しなかったのは、当時の国際情勢によると思われる。

 娘: ほんとに残念ね。山際博士らの研究は、その後どうなったの?

 父: その後イギリスへ渡って発展した。コールタールから「ベンゾピレン」などの
     「発がん物質」が分離された。つまり、山際博士らの研究は、現在の
     「化学発がん研究」の基礎になっているんだ。では、話を元へ戻そう。

 娘: 前回の続きだけど、「発がん性」と、細菌の遺伝子変異を使って調べる「変異原性」が
     ほぼ一致するという話だけど、完全には一致しないのね?

 父: そうなんだ。「発がん物質」のほとんどは遺伝子変異を起こす、つまり変異原性があり、
     このような発がん物質を「発がんイニシエーター」と呼ぶ。ところが、変異原性が
     ないのに発がんを促進する物質があるんだ。これを「発がんプロモーター」
     と呼ぶ。発がんプロモーターだけでは発がんしない。

 娘: ややこしいね。つまり、「発がんプロモーター」は「発がんイニシエーター」の
     「発がん作用を強める」のね?

 父: そのとおり。しかし、発がんプロモーターは必ず必要というわけではなく、
     発がんイニシエーターだけで発がんすることが多いと考えられている。

 娘: では、発がんプロモーターにはどんなものがあるの?

 父: 「クロトン油」に含まれる「ホルボールエステル」という物質が
     「皮膚がんの強力なプロモーター」であることが知られている。
     また、「食塩」は「胃がんのプロモーター」と考えられている
     (ただし、間接的に遺伝子変異を起こすという意見もある)。

 娘: まとめると、「がん」は「発がんイニシエーター」による「複数の遺伝子変異」が
     重なって起こるが、がんによっては
      「発がんプロモーター」によって促進される場合もあるということね。

 父: よく出来ました! ここで、ちょっと細かくなるけど、またまた追加しておきたいことが
     2点ある。第1点は、それ自身には発がん性がないが、ヒトの体の中(主に「肝臓」)で
     「代謝」されて発がん物質になることがあるんだ。

 娘: そうなんだ。どんな物質があるの?

 父: たとえば、「肝がん」を起こすことで有名な「アフラトキシン」
     というカビ毒は、「肝臓」で代謝されて発がん物質が出来るんだ。

 娘: 「アフラトキシン」は最近、悪質業者が転売した古米に入っていて話題になったね。
     化合物それ自身に変異原性がないとすると、
     細菌を使う「エイムス試験」(第100回)では見つからないのでは?

 父: よく気がついたね! じつはエイムス試験では、「ラット肝臓の抽出物」を加えて、
     代謝物も含めてチェックするように工夫してあるんだ。

 娘: すごい工夫ね。では第2点は?

 父: 最近話題になっている「アスベスト」は、「肺がん」や「悪性中皮腫」を起こすが、
     それ自身には変異原性はないんだ。間接的に遺伝子変異を起こすと考えられている。

 娘: どういうこと?

 父: 肺に入ったアスベストは分解されず、異物として「慢性炎症」をひき起こし、
     産生される「活性酸素」などによって遺伝子変異が起こると考えられる。

 娘: 「慢性炎症」も、がんの原因になることがあるのね!

 父: 後でがんの原因の話をするが、そのときにもう一度、取り上げることにしよう。
     では次に、「がん細胞の特徴」について考えてみよう。

    (次回に続く)
内の主人も独身時代、アスベストを
使う会社に季節労働者として
働いていたそうです。
同僚の多くの方は他界され、
残された数人の方は色々な病状が出て
苦しんでいらっしゃいます。
主人はC型肝炎を持っていますが
他にはなんの症状も出ていませんので
今の所、気にかけない様にしています。
色々な病気にかかわる要因を
高度成長期の日本は国民に添付しています。
今、中国その他、
急速な経済成長を進めている
国々は日本と同じ負の財産まで
真似しているように思えてなりません。
全世界の公害による病気が少しでも
少なくなる事を願います。