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からだの不思議
今からでもからだを大切にしたいとの思いで
森 正敬先生(ハンドルネーム:げのむ様)に
お願いし、「げのむトーク」を連載いたします。
No110
げのむトーク

ヒトT細胞向性ウイルスと成人T細胞白血病

 父: 今回は「成人T細胞白血病(ATL)」の話をしよう。
   「成人T細胞白血病
/リンパ腫(ATLL)」ともよばれ、
   1976年に高月清博士(京都大学、のちに熊本大学)によって発見された病気だ。
   ところで、「T細胞」は知ってる?


 娘: たしか、「免疫」に働く細胞でしょう?

 父: そのとおり。免疫を担当する主な細胞は「リンパ球」だが、
    「Bリンパ球(B細胞)」と「Tリンパ球(T細胞)」とがある。
    「B細胞」は「抗体」を産生して、いわゆる「液性免疫」を担当する。


 娘: B細胞は抗体を作って、「病原体」をやっつけるのね。では、
    「T細胞」の方は?


 父: 「T細胞」は、ウイルスに感染している細胞を殺したり、細菌を貪食している
    「マクロファージ」を活性化したりするんだ。
    T細胞は直接相手の細胞に働きかけるので、「細胞性免疫」とよばれる。


 娘: ATL(成人T細胞白血病)は「白血病」の1つみたいだけど、どんな白血病なの?

 父: ATLは「悪性リンパ腫」の1つだが、「白血病化」するので、白血病とも
    白血病
/リンパ腫とも呼ばれる。他の悪性リンパ腫や白血病と大きく異なるのは、
   「ヒトT細胞向性ウイルス(HTLV−1)」と
    呼ばれるウイルスによって起こることだ。


 娘: 日本ではどれくらい患者さんがいるの?

 父: 「ウイルスキャリア(ウイルス保持者)」は日本で120万人くらいと推定されて
    おり、毎年600〜700人が発症している。キャリアが生涯を通して
    発症する率は、100人に2〜6人と言われている。
    地域によって異なり、九州を中心とする西南日本に多いんだ。


 娘: どうして西南日本に多いの?

 父: HTLV−1の分布は縄文人の血が強く残っている地域と一致しており、
    このウイルスは縄文人由来と考えられているんだ。


 娘: わ〜 面白いね。では、「HTLV−1」はどうして感染するの?

 父: 輸血や性交によっても感染するが、ほとんどは「母乳による感染」なんだ。
    母親がキャリアの場合、人工栄養に切り替えることによって、
   「母子間感染率」が20%から3%に低下すると報告されている。


 娘: そうすると、将来ATLの著しい減少が期待できそうね。では、
    「がん化の仕組み」は分かっているの?


 父: 原因ウイルスの「HTLV−1」は「レトロウイルス」で(第107回)、
    T細胞のゲノムDNA中に組み込まれながら増殖する。この間に
    「がん関連遺伝子」の変異が蓄積し、がん細胞が生じ、
    これが増殖してATLが発症すると考えられる。


 娘: では、ATLを発症すると、どんな症状が出るの?

 父: 全身の「リンパ節が腫れ」たり、「肝臓や脾臓が腫大」したり、「皮膚の紅班」
    などの症状がよく見られる。それに、免疫担当細胞のT細胞のがんなので、
    「免疫不全」が起こり、「感染症」にかかりやすくなり、
    「日和見(ひよりみ)感染」を起こす。


 娘: 「日和見感染」ってへんな名前だけど、なに?

 父: どこにでもいるが、普通は感染しない細菌や寄生虫やウイルスなどに感染することだ。

 娘: では、「治療」はどうするの?

 父: 主に「抗がん薬」を使って治療するが、予後は一般によくない。しかし、
    「造血幹細胞移植」による治療の研究が行われており、期待したい。


  (次回に続く)

     
我が家の畑から上の写真の様な土器が出て来ます
遠い昔は先住民の生活の基盤はあった所と思われます。
現在の医学の進歩が見られなかった時代
多くの人は自然体の中で産まれ、土に帰って言った事でしょう
この時代、現在と同じ病気があったのでしょうか?
写真は数年前、家の近所にある我が家、所有の畑から出て来た
「斧とその他の土器」と思われます。