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からだの不思議
今からでもからだを大切にしたいとの思いで
森 正敬先生(ハンドルネーム:げのむ様)に
お願いし、「げのむトーク」を連載いたします。
No102
げのむトーク

がん細胞は正常細胞とどうちがうか?

    がんシリーズの続きです。

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 父: 今回は「がん細胞の性質」について考えてみることにしよう。
     がん細胞は正常細胞とどこが違うと思う?

 娘: がん細胞はもともと自分の細胞から出来るけど、無制限にどんどん増えるんでしょう?

 父: そのとおりだが、もうすこし詳しく説明しよう。がん細胞には
     主に4つの特徴がある。第1の特徴は「単クローン性増殖」だ。

 娘: それってなに?

 父: がんは多くのがん細胞を含む大きな塊を作るが、その元をただせば、ただ1個の
    細胞ががん化し、それが増殖したものなんだ。「ただ1個の細胞から始まる」と
     いう意味から、「単クローン性増殖」という。

 娘: 「クローン」というと、クローン牛とかクローン人間とかいうけど、どういう意味?

 父: 「クローン」とは、1個の細胞または生物から増殖した細胞または生物の一群のことだ。
    つまり、「遺伝子組成」がまったく同じということになる。

 娘: では、がんに含まれるがん細胞は全部同じなの?

 父: 基本的にはそうなんだけど、がんの場合はちょっと複雑なんだ。もともとは1個の
     細胞なんだけど、増殖をしている間に他の変異が加わることがあり、
     部分的に異なる細胞群が混ざっていることがある。

 娘: ちょっとむつかしいね。では、がん細胞の第2の特徴は?

 父: 第2の特徴は、「細胞の不死化」、つまり「死ななくなること」だ。通常の細胞は
     数十回増殖すると、それ以上増殖できなくなるが、がん細胞は無限に増殖できるんだ。           例えば、「HeLa細胞」というがん細胞が、長い間、がん研究に使われている。

 娘: その「HeLa細胞」ってどんな細胞なの?

 父: 1952年にHeLaさんという黒人女性の「子宮がん」から分離した
     がん細胞で、現在でも世界中で培養されて使われているよ。

 娘: HeLaさんはすでに亡くなっているのに、彼女のがん細胞が生き続けていると
     いうわけね! ところで、がん細胞が死なないという話は、
     「細胞の老化」のところでも出てきたね(第60回)。

 父: よく覚えているね。 簡単に復習しておこう。「染色体」の両端に「テロメア」という領域が
     あり、細胞が分裂する度に短くなる。そして一定の長さになると、細胞は
     それ以上分裂できなくなる。これが「細胞の老化」とよばれる。

 娘: ところが「がん細胞」は、テロメアを伸ばす「テロメラーゼ」という酵素を持っており、
     テロメアが短くならないので、老化しないんだったね。たしかテロメアとテロメラーゼに
     関する研究は、昨年(2009年)のノーベル医学生物学賞の対象だったよね。

 父: そのとおり。次に第3の特徴だが、「接着阻止能の喪失」で、
     ひらたく言うと「細胞と細胞との付き合いがおかしくなること」だ。

 娘: 実際にはどうなるの?

 父: 正常細胞は、細胞同士が接触すると増殖が止まる性質がある。
     例えば、けがをすると傷口はどうなる?

 娘: 皮膚の細胞が増殖して、傷口がふさがって治るよね。

 父: そのとおりで、傷口が完全にふさがれると、細胞はそれ以上増殖しない。
     肝臓を一部切り取っても、元の大きさに戻ると、増殖はピタッと止まる。ところが、
     がん細胞は周囲にお構いなく、無制限に増えるんだ。

 娘: 細胞が増殖するのは大切だけど、増殖を止める(調節する)
     ことも大切なのね。では、がん細胞の第4の特徴は?

 父: 「浸潤」と「転移」で、がん細胞のもっとも困った性質だ。「浸潤」とは、がん細胞が
     周囲の組織に広がっていくことで、「転移」とは、離れた場所に飛び火することだ。

 娘: 転移は、がん細胞が血管を通って他の組織に運ばれるの?

 父: 血管によって運ばれる場合(これを「血行性転移」という)と、リンパ管によって運ばれる
     場合(これを「リンパ行性転移」という)がある。リンパ行性場合は、
     がん細胞がリンパ節に引っ掛かって「リンパ節転移」を起こすことが多い。

 娘: がんの手術のときに、近くのリンパ節も一緒に切除したりするのは、そのためなのね。

 父: そのとおり。しかしリンパ節の切除については、「免疫力」を低下させるという
     デメリットがあるので、難しい問題だ。それではいよいよ、「がん関連遺伝子」に移ろう。

  (次回に続く)
癌細胞は正常な細胞と4項目の違い?がある為
1個の癌細胞から1体の体を死に至らしめる
様な力を持っているのが怖いですね。
早期発見がいかに大切かが理解できます。
幼い頃に見た「肺がん」で死期を目前に控えた
父の姿を忘れることが出来ません。
今年のお盆、孫達が庭で花火を楽しみました。
幼かった自分の姿を重ね、健康のありがたさ
家族全員が集う事のできる幸せを
感じながらも元気すぎる孫達にお小言を
言ってるバアチャンです。