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からだの不思議
今からでもからだを大切にしたいとの思いで
森 正敬先生(ハンドルネーム:げのむ様)に
お願いし、「げのむトーク」を連載いたします。
No108
げのむトーク

肝炎ウイルスと肝がん

娘: 「ウイルス発がん」の続きだけど、
    ヒトのがんを起こすウイルスにはどんなものがあるの?


父: 「肝がん(肝臓がん)」を起こす「B型肝炎ウイルス(HBV)」や
    「C型肝炎ウイルス(HCV)」,「リンパ腫を起こすEBウイルス」、
    「子宮頸がん」を起こす「ヒトパピローマウイルス」、「成人T細胞白血病
    (ATL)」を起こす「ヒトTリンパ向性ウイルス(HTLV)」などが
    よく知られているな。


娘: まず肝がんについて、ウイルスはどれくらい関係するの?

父: 肝がんには「原発性」のものと「転移性」のものがあり、転移性のほうが数倍多い。
    原発性の肝がんのほとんどは「肝細胞がん」で、肝細胞がんのほとんどは
   「ウイルス性肝炎」から生じる。


娘: 肝がんの多くが転移性なのはどうして?

父: 肝臓には「門脈」という特殊な血管系があり、膵臓や胃や大腸などの内臓臓器
   (「腹腔臓器」という)から血液が流れ込んでくる。だから、膵臓や胃や大腸で
    生じたがん細胞が門脈を通って肝臓に運ばれ、転移するんだ。


娘: 小腸で吸収された栄養物質も、門脈を通って肝臓に運ばれると習ったよ。
    ところで、B型肝炎ウイルスによるがんと、C型肝炎ウイルスによるがんは
    どちらが多いの?


父: 肝細胞がんのうち、「B型肝炎」によるのが10〜20%、
   「C型肝炎」によるのが70〜80%だ。


娘: C型肝炎によるのがほとんどなのね。肝炎ウイルスも「レトロウイルス」なの?

父: それが違うんだ。先ほど挙げた例の中で、
   「HTLV」は「レトロウイルス」だけど、「B型肝炎ウイルス」は
   「DNAウイルス」で、「C型肝炎ウイルス」はレトロウイルスでない
   「RNAウイルス」なんだ。


娘: ややこしいね。
    B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスが、がんを起こす仕組みは分かっているの?


父: B型肝炎ウイルスについては、かなり分かっている。
    ウイルスDNAが肝細胞のゲノムDNAに組み込まれ、「がん原遺伝子」が
    活性化され、がんを発症する。


娘: 「肝炎ウイルス」というからには、「肝炎」を起こすのでしょう?

父: そのとおり。B型肝炎は成人で感染・発症する場合と、母子感染による場合が
    あるが、がんになるのはほとんど「母子感染」によるんだ。


娘: すると、長い時間かかってがんになるのね。

父: そうなんだ。母子感染した場合、ウイルスDNAが肝細胞ゲノムDNAに
    組み込まれて「慢性キャリア」(ウイルス保持者)となる。
    成人の後に慢性肝炎が起こり、その中の1部(5〜10%)が「肝硬変」を経て
   「肝がん」を発症する。


娘: 「B型肝炎の治療法」はあるの?

父: 「インターフェロン」が使われるが、残念ながら効果は限られている。

娘: インターフェロンってなに?

父: ウイルスに感染した細胞から産生され、「抗ウイルス作用」をもつ
   「糖タンパク質」だ。天然型インターフェロンと遺伝子組み換えインターフェロンが
    使われている。


娘: 遺伝子工学が役に立っているのね。では、C型肝炎ウイルスは?

父: 「C型肝炎」のほとんどは、「輸血」による「C型肝炎ウイルス」の感染による。
    感染した人の約70%が、10〜30年の経過で慢性化し、そのうちの約50%が
    「肝硬変」を経て「がん化」する。
    しかし、がん化の仕組みはよく分かっていないんだ。


娘: 「フィブリノゲン製剤(血液凝固薬)」による「C型肝炎訴訟」が問題になって
    いるね。最近は、血液製剤や輸血時のウイルスをチェックするんでしょう?


父: そのとおりで、
    血液製剤や輸血による感染はほとんどなくなった。しかし依然として、
    100万人以上のキャリアが存在するので、しばらくは肝がんの発生は続くよ。


娘: 「C型肝炎の治療法」はあるの?

父: 「インターフェロン」による治療が有効だが、
    完全に治る確率は40〜50%と言われている。


娘: そうなんだ。次に、女性としては「子宮頸がん」が気になるな。

(次回へ続く)
長崎の出島の復元模型
この模型に沿って
建物が再現されていました。
日本に西洋の文化が初めて
到着した場所で
現在の日本の基礎を作った
出発点だったのですよね。話は変わって
私の主人もC型肝炎です、
どうして肝炎になったのか
分からないと言う。
日頃がうつの症状が出る人だから
「インターフェロン」治療が怖いそうです。
難しい病気で頭が痛いところです。