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からだの不思議
今からでもからだを大切にしたいとの思いで
森 正敬先生(ハンドルネーム:げのむ様)に
お願いし、「げのむトーク」を連載いたします。
No109
げのむトーク

ヒトパピローマウイルスと子宮頸がん


 娘: 前回は「肝炎ウイルス」と「肝がん」の話だったけど、女性としては
    「子宮頸がん」が気になるな。子宮頸がんはどんながんなの?


 父: まず、「子宮がん」には子宮頚部に出来る「子宮頸がん」と、子宮体部に出来る
    「子宮体がん」がある。両者の発生比率は約7:3と、子宮頸がんのほうが多い。


 娘: その子宮頸がんのほうに、「ヒトパピローマウイルス(HPV)」が関係するのね。

 父: そのとおり。ほとんどの「子宮頸がん」は
    「HPV(ヒトパピローマウイルス)」の長期的な感染によって起こることが
     明らかになった。2008年のノーベル医学生理学賞は、HPVを
     発見したドイツのツア・ハウゼン博士に贈られているよ。


 娘: そうなんだ。ではHPVはどうして「感染」するの?

 父: 「性交」によって感染するんだ。性交経験がある女性のほとんどは
     感染したことがあると思われるが、多くの場合、免疫力によって
     HPVが排除されると考えられている。


 娘: でも、排除されない場合があるのね?

 父: そうなんだ。約10%の人では感染が長引き、さらにその1部で子宮頚部の
    細胞に「異形成」とよばれる「前がん状態」になる。


 娘: 異形成になると、どれくらいががんになるの?

 父: 異形成が数年〜10年以上続いた後に、
    その一部が異形成から子宮頸がんに進行するんだ。


 娘: やっぱり長い時間がかかるのね。「がん化の仕組み」は分かっているの?

 父: HPVは「DNAウイルス」で、ウイルスが作るタンパク質が、
    「p53タンパク質」などの「がん抑制タンパク質」(第104回)を
    分解することが分かっている。しかし、
    がん化の詳しい仕組みはまだ分かっていない。


 娘: 子宮頸がんは「検診」があるけど、有効なの?

 父: 「子宮頸がん」の大きな特徴は、「予防できる」ということだ。
     検診は、「細胞診」と「HPV検査」を行う。これで異常が見つかれば、
     異形成の状態を詳しく調べる。


 娘: 「異形成」が見つかったら、どうするの?

 父: 初期ならしばらく様子を見るが、異形成がある程度進行している場合は、
    子宮頸部の一部を切除するのが一般的だ。この手術は「円錐切除術」とよばれる。
    この手術では、子宮を保存することが出来るよ。


 娘: 異形成が出来る前に、予防する方法はないの?

 父: それがあるんだ。最近、HPVに対する「ワクチン」が開発されて、
    日本でも2009年に認可された。有効性は90%以上といわれている。


 娘: グッドニュースね! ワクチンはいつ接種するの?

 父: 初性交の前に接種するのが推奨されている。諸外国では、
    小学生のうちに接種する国が多いらしい。


 娘: そうなんだ。子宮頸がんがほとんど完全に予防できるなんて、うれしいな。

  (次回へ続く)
今年は秋が短く感じられます。
急に朝晩が寒くなり
体調管理には気を付けたいですね。
通潤橋の秋を写してみました。